2025年5月23日、森永製菓(2201)の株価は年初来安値2,330.5円を記録しました。業績自体は増収増益で過去最高を更新しているにもかかわらず、株価が下落している背景を、最新決算内容と市場の反応を踏まえて解説します。
1. 最新決算の概要
- 売上高:2,289億5,700万円(前年比7.3%増)
- 営業利益:212億6,600万円(同4.9%増)
- 経常利益:223億400万円(同6.0%増)
- 純利益:177億1,000万円(同16.9%増)
- 自己資本比率:62.3%に改善
売上・利益ともに4年連続で過去最高を更新。特に冷菓事業や菓子食品事業が業績を牽引し、原材料高騰分も増収と価格改定で吸収しています。
2. 株価下落の主な要因
(1) 原材料高騰の影響が継続
2025年3月期はカカオなど原材料価格の高騰が大きく、営業利益に大きなマイナスインパクトとなっています。増収増益ではあるものの、菓子食品事業の営業利益は原材料高騰の影響で減益となる場面も見られました。
(2) 大規模な値上げの実施
2025年2月・3月にかけて主力商品を含む65品目で5~45%の値上げを実施。値上げはコスト高対策ですが、消費者の買い控えや販売数量減への懸念が強まっています。
(3) 先行き業績予想の減速感
2026年3月期の会社予想は経常利益が前期比で減少する見通しとなっており、今期(2025年3月期)は好調ですが、来期の減益見通しが失望感を誘っています。
(4) キャッシュフローの悪化
営業キャッシュフローやフリーキャッシュフローが前期比で大幅に減少。投資・財務活動の増加や現金残高の減少も投資家心理に影響しています。
3. 市場・投資家の反応
決算発表後、「様子見」や「売りたい」といった慎重・悲観的な声が増加。原材料高騰、値上げ、来期減益という三重苦が株価の重しとなっています。
4. まとめ:今後の注目点
- 原材料高騰がどこまで続くか
- 値上げによる販売数量やブランド力への影響
- 来期以降の利益成長回復の道筋
ポイント
森永製菓の業績は過去最高を更新中ですが、原材料高騰や大規模な値上げ、来期減益予想が重なり、株価は年初来安値に沈んでいます。今後はコスト構造の改善や新たな成長戦略が株価回復のカギとなるでしょう。
コメント