2025年に入り、伊藤園第1種優先株式(証券コード:25935)が年初来安値を記録しました。その背景には、業績動向や市場環境、優先株固有の事情が複合的に絡んでいます。以下にポイントを整理します。
1. 業績悪化による投資家心理の悪化
2025年の第3四半期決算で、伊藤園は売上高こそ前年同期比で増加したものの、営業利益・経常利益・純利益のいずれも大幅な減益となりました。原材料費やエネルギーコストの高騰、円安による輸入コスト増加、国内飲料市場での競争激化などが利益を圧迫しています。この決算発表を受けて、投資家心理が悪化し、株価が大きく下落しました。
2. 優先株特有のディスカウントと流動性リスク
伊藤園の優先株は議決権がない代わりに、普通株より高い配当が得られる特徴があります。しかし、議決権がないことや知名度の低さから、株価は普通株よりディスカウントされやすい傾向があります。また、優先株は流動性が低く、売買が成立しにくい場面では価格が大きく下落しやすいというリスクもあります。
3. 市場全体のリスク回避姿勢と消費動向の変化
物価上昇による消費マインドの低下や健康志向の変化で、高価格帯飲料の需要が鈍化していることも投資家心理に影響しています。ディフェンシブ銘柄とされる伊藤園でも、業績悪化や市場のリスク回避姿勢が強まると優先株も売られやすくなります。
4. 自社株買いの影響と一時的な需給要因
伊藤園は2024年末から2025年春にかけて第1種優先株の自社株買いを実施しましたが、その終了や進捗によって需給が変動し、株価が下押しされる場面もありました。
まとめ
伊藤園第1種優先株式が年初来安値となった主な理由は、2025年の大幅減益決算による投資家心理の悪化、優先株特有のディスカウントと流動性リスク、市場全体のリスク回避姿勢、そして自社株買いの需給変動が重なったためです。配当利回りの高さや株主優待の魅力は維持されていますが、議決権のなさや知名度の低さなどから、株価は普通株に比べて割安に放置されやすい状況が続いています。
「議決権はいらないから、配当や優待がもらえる方がうれしい」という方は、優先株への投資を検討しても良いかもしれません。
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