KDDIは2025年5月14日、2025年3月期の決算を発表しました。主なポイントは以下の通りです。
- 連結売上高:5兆9,180億円(前期比2.8%増)
- 連結営業利益:1兆1,187億円(前期比16.3%増)
- 親会社の所有者に帰属する当期利益:6,857億円(前期比7.5%増)
- EBITDA:1兆8,312億円(前期比9.3%増)
増収増益の背景には、通信ARPU収入の増加に加え、金融・エネルギー事業やローソン、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業の成長が寄与しています。
2026年3月期の業績見通しとしては、売上高6兆3,300億円(前期比7.0%増)、営業利益1兆1,780億円(前期比5.3%増)、当期利益7,480億円(前期比9.1%増)を見込んでおり、2期連続で過去最高益を更新する見通しです。
また、配当については1株当たり80円(配当性向41.2%)を予定しており、実質的に増配となります。
株主還元策と資本政策
KDDIは今回、発行済株式の4.47%にあたる約1億9,600万株・4,000億円を上限とする自己株式取得(自社株買い)を決議しました。取得期間は2025年5月15日から12月23日までです。また、自己株式の公開買付け(TOB)も実施し、京セラやトヨタ自動車など大株主が応募する予定です。さらに、取得した自己株式は発行済株式の4.47%にあたる約1億9,584万株を5月22日に消却する予定です。
この大規模な自社株買いは、資本効率の向上と株主還元強化を目的としています。大株主の株式売却に伴う需給への影響を緩和しつつ、1株あたりの価値向上を図る狙いです。
株価の動向と市場の評価
2025年5月14日時点でのKDDI株価は2,591.5円(前日比-0.44%)となっています。4月以降、株価は一時的に軟調な場面もありましたが、シャープの堺市液晶パネル工場の一部買収とAIデータセンター事業への参入計画が材料視され、反発する場面も見られました。
市場・投資家の声
- ポジティブな評価:
- 高配当利回りや23期連続増配の実績から、長期保有に適した安定銘柄と評価されています。
- AIデータセンター事業など新規事業への取り組みが将来的な成長ドライバーとして期待されています。
- ネガティブな評価:
- 通信業界全体の成長鈍化や、株価分割後の値動き不安、競争激化への懸念も根強いです。
- 市場全体が不安定な中で、短期的な株価変動リスクも指摘されています。
今後の注目ポイント
- 2026年3月期も増収増益・増配を見込む堅調な業績予想
- 5GやAI、DX領域への積極投資と高付加価値サービスの拡充
- 大規模な自社株買いと株主還元策の動向
- 通信業界の競争環境や新規事業の成長性
まとめ
KDDIは2025年3月期において増収増益を達成し、2期連続で過去最高益更新を見込むなど、安定した業績を維持しています。高配当や自社株買いなど株主還元も強化しており、長期投資家にとっては引き続き注目される銘柄です。一方で、通信業界の成長鈍化や競争激化、新規事業の成否など、中長期的な視点での動向にも注視が必要です。
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