2025年春、トランプ前大統領が再び提唱した「25％の自動車追加関税（通称：トランプ関税）」が日本の自動車メーカー、とりわけトヨタ自動車に大きな影響を与えています。ここでは、トヨタの公式コメントや決算説明会での発言、今後の見通しについて要点をまとめます。
トランプ関税の影響とトヨタの業績
- これまで米国に輸出される日本車には乗用車2.5％、トラック最大25％の関税が課されていましたが、トランプ政権は2025年5月3日からさらに25％の追加関税を発動しました。
- トヨタはこの関税政策によって、2026年3月期の営業利益が4月・5月の2カ月間だけで1800億円減少する見通しを発表しました。これは約20.8％の営業利益減に相当します。
- 純利益も前年度比で約35％減となる3兆1000億円を見込んでいます。
トヨタ経営陣のコメント・姿勢
- 佐藤恒治社長は決算説明会で「関税の詳細についてはまだ流動的。一番大事なのは軸をぶらさず、じたばたせずにしっかりと地に足をつけてやれることをやっていく」と冷静な対応を強調しました。
- また「国内生産をしっかり守る」としつつ、「中長期的には現地のお客様に適した商品を現地で生産していく」と述べ、国内サプライチェーン維持と現地生産強化の両立を目指す姿勢を示しました。
- 宮崎洋一副社長も「関税があるから値上げするという場当たり的な対応は取らない」と発言し、短期的な値上げによる消費者離れを避ける方針を明確にしています。
今後の対応と見通し
- トヨタは、追加関税の影響が長期化する場合でも「グローバルなサプライチェーンの調整」「米国での現地生産拡大」「モデル数の削減によるコストカット」などで2～3年かけて吸収できると見込んでいます。
- 2026年3月期の販売台数目標は強気で、前年より4.7％増の980万台を掲げています。これは、関税ショックによる市場の不安を和らげ、部品会社など取引先の経営計画の指標となるよう、トヨタとしての責任感から業績予想を出したためとも説明されています。
まとめ
トヨタ自動車は、トランプ関税による短期的な利益圧迫を認めつつも、冷静かつ戦略的に対応する姿勢を強調しています。国内生産の維持、現地生産の拡大、サプライチェーンの強化など、長期的な競争力維持に向けた取り組みを進めつつ、パニック的な値上げや場当たり的な対応は避ける方針です。今後も関税政策の動向とトヨタの対応が注目されます。
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